東ロボくん

2013年から新井紀子教授(国立情報学研究所)のもと東大合格を目指す「東ロボくん」の研究が続けられてきたが,読解力育成の限界から「東ロボくん」計画はstopされた.

コンピューターは情報のストックは得意だが,「意味」を理解することが苦手である. すなわち,「Aの子はaである」という情報があっても「aの親はだれ?」に答えられないのである. こういったことからこの研究がstopしたようだが,これはstopではなく,新たな研究の出発と解釈すべきでしょう.

坂村健教授(東大)も 「意味を理解することはAIの限界というより,研究の最前線だ」と言っている. 松原仁教授(はこだて未来大)は 「今の手法に限界はあるが,人間とは違う学習の仕方で『意味を理解している』と いうレベルに達する可能性はある」とも言っている.

AIの技術として「ディープラーニング(深層学習)」というものがある. 膨大な画像や文字データを読み込ませることにより, コンピューターが自ら情報を分解し,その特徴を見いだすというものだが, 「東ロボくん」が東大に合格するには 「問題文と正解がセットになった文章を100万本学習することが合格するために最低限必要」だそうだ(東中竜一郎主任研究員・NTTコミュニケーション科学基礎研究所) .ちなみにこの段階で「東ロボくん」のMARCH(明治大,青山学院大,立教大、中央大、法政大)合格可能性は80%ということである.

一つ教訓,「東ロボくん」ほどでもないにしろ丸暗記の学習をしている人は意外と多い.詰まったときに「これどうすればいいの?」「こうすれば解けるよ」「分かりました」.これでは学習の効果は期待できません. きっとまたすぐに「これどうすればいいの?」を繰り返すことでしょう. 「意味」を理解するように学習の仕方を切り替えましょう. 解けない問題に出会った時が学力を伸ばす最高のチャンスなのですから.